沖縄の旧暦の行事は、新暦の日付が毎年動きます。ムーチーもシーミーも旧盆も、去年と同じ日には来ません。私自身、毎年だれかに「今年はいつ?」と聞いていました。聞かれたほうも、たいてい調べ直しています。
困るのは日付だけではありません。当日に思い出しても、餅も月桃の葉も間に合わない。家ごとにやり方が違うのに、聞ける人が少しずつ減っていく。この3つをまとめて引き受けるアプリを作りました。
何日前に知らせるかは自分で決められます。30日前から当日まで、いくつでも選べます。届く時刻も指定できます。旧暦1日・15日の拝みのお知らせも選べます。
通知を押すと、その行事の解説が開きます。ひとことで言うと何の日か、何をするか、意味と由来、地域によるちがい。本島・宮古・八重山で違うところも書いてあります。
旧暦・新暦のどちらでも登録できます。ワカスーコー・ウフスーコーの年忌も自動で出ます。こちらも通知で知らせます。
行事ごとに、その家のやり方を文章と写真・動画で書き残せます。用意するものはチェックをつけながら確かめられます。書いたものは誰でも開けるHTML1枚にして、家族へ渡せます。アプリを入れていない人にも届きます。
ここが一番時間をかけたところです。既製の旧暦の部品には、中国の暦を基準にしているものが混ざっています。日本と中国では日付の境目を引く標準時が1時間違うため、朔の瞬間が真夜中の近くに来た年はそのまま1日ずれます。実際、2027年の旧正月は日本の暦で2月7日、中国の暦で2月6日です。
沖縄で旧正月に手を合わせる人に向けたアプリが、その日だけ1日ずれる。これは機能が1つ壊れているのと同じです。そこで暦は自分の側に持ちました。Pythonで先に計算した表をアプリに焼き込んでいます。2033年は旧暦の月の決め方が定まっていないため、表は2032年末までです。
企画、デザイン、実装、行事の解説文、App Storeの提出まで、すべて私が担当しました。Expo(React Native)で書いています。行事の絵35点は水彩で描き下ろしました。
サーバーは持っていません。通知は端末の中で予約し、書いたことは外へ送りません。会員登録もありません。iPhoneが一度に予約できる通知は64件までなので、近い順に60件を入れ、アプリを開くたび・設定を変えるたびに入れ直しています。
AIとは、暦の決まりの調べ直しと、実装の相談で長く付き合いました。どの資料を信じるか、どこで止めるかは、こちらで決めています。